かけがえのない会話

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日頃から何度となく繰り返されるその人の話に、もはや私は耳を貸してる暇など無いとばかりの態度をとリ続けていました。常々、そうした自分自身の態度は改めなければならないと思いながらも、過去のわだかまりも手伝ってか興味深く耳を傾けるまでには到底至らず、聞く事は聞いていますといった程度の態度をとるのがが精一杯でした。

専門家の話を平気でスルー

このところ私はある事について調べています。調べて行くうちに、私は上での話を聞き流してしまっていた事を悔みました。上で書いた繰り返される話というのは、正に私が調べている内容そのもので、話し手はその道の専門家なのです。

確か最近もその話をしていましたが、その話題について語っていた事は覚えていても内容は全く覚えていません。

自分には関係無い。でも永遠に関係ないとは断定できない

その話を聞いている時、私はその話の内容が自分には全く関係の無い事だと思っていましたし、事実、その時点では必要の無い情報でした。また、将来的にその話が必要になる事も無いとも考えていました。

人が人に対して何かを話し、語る時、その内容は話し手自身が詳しい分野である事があります。中には控え目な人もいますからこの限りではありませんが、そうした自分の得意分野の、それも同じ話題を繰り返されるのは時に聞き手に苦痛となりますが、それも私が話を聞かなかった理由の一つです。

しかし、冒頭でも書いた通り、今、私はその話を必要としています。

調べている事に対し、求める情報を100とした時、今の私が持っている知識は10以下であり0に近いものです。仮に上での話を私がきちんと興味を持って聞いていたとします。それを持って100を得られていたとは考えませんが、30や40、あるいは20であるにしろ、0よりは随分と違います。

0が20になったところで、そう違いがないとお思いの方もいるかもしれませんが、持っている知識が0に近いと、初めにアプローチできる方法もごく限られ、幅を広げていくのに時間を要します。イメージとしては、全く経験の無い事を新たに始める際、これは行動に移す前に頭で考えているような極々初期をイメージして頂きたいのですが、その時、何から始めようかと考え、その後に具体的な行動が思い当たるのではないでしょうか。そして具体的な行動を始めた中で、また別のアプローチを思いついたりすると言うイメージです。

これに対し、20の情報を既に持っていたらどうでしょう? 仮に20個の情報を持っているなら、「20通りのアプローチ」あるいは「行動を起こすための」、「別の情報を探すための」キッカケをすでに持っている訳ですから、労力は大きく異なるように思います。

また専門外の人間がその分野で必要な専門的な言葉を事前に知っている事は稀ですから、そうした面からも上での話は重要だったわけです。

人間関係も、鶏の卵の話と同じ

私が上での話に耳を貸さなかったのには別の理由があり、また、その人の話に耳を傾けねばならないと思う理由についても、上に書いた以外の理由があります。

つまらないプライドのぶつかり合いから

その人の話に私が興味も、聞く耳も持てなかった理由。それは相手も私の話に聞く耳を持っておらず、そればかりか何を言っても、開口一番、否定されてきたからです。私は当時必死でした。否定されても否定されても話を続けました。相手は目上の方ですが、顔を合わせれば常に喧嘩のような感じで、それを数年間続けました。

数年経ち、気付けば我々の口喧嘩は幾分大人しくなりましが、同時に2人の溝は以前にも増して深まっていました。

当時を振りかえると、相手がそうしていたように、私自身も相手を完全に否定する姿勢でした。これでは上手く行くはずありません。自分の意見を聞いて欲しければ、相手の意見に耳を傾けなければならないのは当然の事です。しかし、それに気付きながらも、私はそれが出来ませんでした。

プライドよりも大切なものを取り戻すには

かれこれ十数年前に始まった、このつまらない意地の張り合いをきっかに、それ以来私達の関係は明るいものではありませんでした。しかし、私はこの関係を望ましいとは思っておらず、むしろこの状況を打破し、関係を改善しなければと強く感じていました。

そうとなればやるべき事は決まっていました。相手に対しきちんとした興味を示し、リアクションを返し、場合によっては感謝の意を示す事です。

しかし、数十年に渡って彫りこまれた溝を修復するのは容易ではありません。上に書いた相手への接し方を意識していても、なかなか素直に行動に移せなかったり、意を決して行動を起こしても今まで通りのリアクションが帰ってくると、今まで以上に心が折れそうになります。

ですから、初めの頃は感情を押し殺し作り笑いをする事も多々ありそれが精一杯でしたし、それすら出来ない事もありました。またそうした事を続けている事で、逆に、より思った事も言えない関係となってしまっているように感じてしまう事もありました。そしてこれは以前にも増して精神的に堪える日々でした。

相手をよく見ると

関係が改善されぬまま数年が経ち、その状況に私はめげそうになりながらも、諦めへ向う想いはなく、どうしたらいいんだ! 何とかしたい! っと言った想いで一杯でした。そんな時にふと気付きます。相手も何やら私と同様悩んでいるように見えるばかりか、時々私を気遣う言動をしているではありませんか!

私は、自分だけが思い悩み、苦しんでいるとばかり考えていました。また私は、自分ばかりが関係の修復の為に自分を殺しているとすら思っていました。私は相手との関係を修復したかったはずなのに、いつしかそうした自分の事ばかり考え、相手を見る目をもたなくなっていたのです。そしてそれ以降、どうしたらいいのか悩む事が格段に減りました。

ですが、そうわかると、それはそれでまたぎくしゃくする感じが生じる事になるのですが、しかし、それは互いのタイミングが合っていないだけだと思え、そこに希望を持つ事が出来るようになりました。

そして気付けば

今現在、この関係が完全に上手くいくには至っていません。ですが、時間を共にして楽しいと思える時間は多くなりましたし、素直に相手の話に笑う事も多くなりました。

二人の関係に何時から変化が生まれたのかはわかりませんが、互いに相手の事をより意識し出した頃から急速に関係が変わって行ったように感じています。

今でもちょっとした険悪な雰囲気にはなります。しかし以前は否定が必要のない場面で否定をし、相手を認める事が出来なかった両者が、互いの意見に耳を貸し、認める場面がありますので、時には本音でぶつかれる余地が残っているのも悪くないと思っています。

何気ない事なのかもしれない

人と人との会話。それは実に何気ない日常の中の出来事なのかもしれません。しかし、時には自分を助けてくれるきっかけになり、時には人間関係を良好にしてくれたりと、我々の営みには欠かせないものです。

上に書いたように2人の関係は修復に向かっているように感じます。しかし、これも上に書いた通り、私にはまだまだ相手に対する姿勢に改善の余地が残っています。

今回話を聞いていなかった事で私は少し困りました。しかし、同時に相手に対してもっと興味を持つきっかけを得る事ができました。そしてそれは更に二人の関係を良好にするものだと信じています。

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